アトピー性皮膚炎は痒みを伴う湿疹が良くなったり悪くなったりを繰り返し、患者さんの多くは喘息・アレルギー性鼻炎・アレルギー性結膜炎・アトピー性皮膚炎いずれかの家族歴や既往歴を持っていると定義されています。湿疹の分布は年齢によって変わってきますが、基本的に左右対称性です。アトピー性皮膚炎は現代病ともいわれ、お子さまだけでなく、成人まで症状が続く、あるいは成人になってから発症することもあります。
アトピー性皮膚炎は特徴的な症状や経過をとることが多いため、皮膚症状をもとに診断を行います。治療は➀原因・悪化因子の検索と対策、②スキンケア、③薬物療法を中心に行っていきます。➀についてはアトピー性皮膚炎の方は刺激因子(アレルゲン)が皮膚炎を悪化させるため、適切な対応が必要になってきます。物理化学的刺激(石けん、洗剤、衣服の擦れなど)や搔破、汗、乾燥、ストレスなどは増悪因子になると言われています。また、当院では従来の血液検査によるアレルゲンの検索の他に、アレルギー症状を起こしやすい41種類のアレルゲンを指先の1滴の血液から検査できるドロップスクリーンを採用しておりますので、ご活用ください。②についてはアトピー性皮膚炎の特徴でもある乾燥肌の改善を図り、皮膚のバリア機能を保ち、皮膚症状悪化やアレルゲンの侵入を防ぎます。③については炎症とかゆみのコントロールを目的に、外用薬を中心として内服薬、注射・点滴などの中から症状や部位、状況、年齢に合わせて治療、調整を行っていきます。なお、現在当院では扱いはありませんが、コントロール不十分なアトピー性皮膚炎の方は生物学的製剤などを検討することもあります。その場合、対応可能施設へ紹介いたします。